宅建(宅地建物取引士)は、不動産の取引に関わる人に向けた国家資格です。不動産会社で働く人だけでなく、金融や建設の仕事をしている人、学生の受験者も多い試験です。範囲は民法から税金まで広いので、分野ごとに勉強のしかたを変えるのが近道になります。

試験の形

試験は不動産適正取引推進機構が実施していて、毎年1回、10月の第3日曜日に行われます。ほかの多くの資格のように好きな日に受けることはできないので、1年に1回の本番に向けて計画を立てることになります。

  • 問題数と時間:50問の四肢択一式で、筆記試験です。時間は午後1時から3時までの2時間です
  • 登録講習を修了した人:45問で、時間は1時間50分です。出題内容のうち2つの項目(土地と建物の形質などに関すること、需給に関する法令と実務に関すること)が免除されます
  • 合格の発表:原則として11月下旬です

合格の基準点は、毎年の試験結果とともに発表されます。年によって変わるので、何点取れば合格と決めつけず、過去の結果を公式サイトで見ておきましょう。

制度は変わることがあるので、受ける前に 不動産適正取引推進機構の試験案内 で最新の情報を確かめてください。

出題の分野と、それぞれの進め方

公式には7つの項目が示されていますが、勉強するときは次の4つのかたまりで考えると整理しやすくなります。

権利関係(民法など)は、図を描いて人の関係をつかむ

売買、相続、抵当権、借地借家法などが出ます。登場人物が3人、4人と増える問題が多いので、文章を読みながら「AがBに売って、BがCに転売した」のように矢印の図を描くくせをつけてください。条文を丸暗記するより、「この決まりは誰を守るためにあるのか」を考えると、初めて見る問題にも対応しやすくなります。

法令上の制限は、数字と区域を表にまとめる

都市計画法、建築基準法、農地法などが出ます。面積や区域ごとの決まりなど、数字の暗記が多い分野です。自分でノートに一覧を作り、何も見ずにその一覧を書き出せるか試すと、覚えたかどうかがはっきりします。

税・その他は、深追いしすぎない

不動産に関する税金や、地価公示、不動産の価格の評定などが出ます。範囲が広い割に、一つひとつは基本的な問題が中心です。よく出る論点をおさえたら、他の分野に時間を回すのも一つの考え方です。

宅建業法は、細かい違いまで正確に

宅建業者が守るべき決まりを扱う分野で、実務に直結します。似た決まりが多く、細部の違いがそのまま問題になります。どの分野から何問出ているかは、公式サイトに載っている過去の問題を見て、自分で数えてみると実感できます。

まぎらわしい法律用語の覚え分け

宅建では、日常の意味と法律上の意味が違う言葉がたくさん出てきます。

  • 善意と悪意:法律では、善意は「その事情を知らない」、悪意は「知っている」という意味です。性格の良し悪しとは関係ありません
  • 無効と取消し:無効ははじめから効力がないものです。取消しは、取り消されるまでは有効で、取り消すとさかのぼって無効になります
  • 建蔽率と容積率:建蔽率は敷地の面積に対する建築面積(建物を上から見た面積)の割合、容積率は敷地の面積に対する延べ面積(各階の床面積の合計)の割合です。「建蔽率は平面、容積率は立体」と覚えると混ざりません
  • 重要事項説明(35条書面)と37条書面:重要事項説明は契約の前に、宅建士が買主や借主に説明するものです。37条書面は契約が成立した後に交付するものです。「前か後か」で区別します

こうした用語をまとめて確認したいときは、宅建の用語集 を使えます。

記憶の研究から分かっているコツ

テキストを何度も読み返すより、問題を解いて思い出す方が、長く記憶に残ることが確かめられています(Karpicke & Roediger, 2008)。宅建は文章量の多いテキストを読むことに時間を使いがちですが、早めに問題演習に移るのがおすすめです。

また、間をあけて復習すると長く残ります(Cepeda ほか, 2008)。年1回の試験は勉強期間が長くなりやすく、序盤に覚えた権利関係を本番までに忘れてしまうことがよくあります。後の分野に進んでからも、前の分野の問題を週に一度は解き直す時間を取ってください。

間違えた問題は、その場で解説を読んで理由を確かめます。自信を持って選んだのに間違えた問題ほど、正しい答えを見たときに直りやすいことが分かっています(Butterfield & Metcalfe, 2001)。

試験日までの計画の立て方

試験日が決まっているので、カレンダーに逆算して書き込みます。

  1. まず、4つの分野にそれぞれどれくらいの期間をかけるか決めます。権利関係は理解に時間がかかるので、早めに始めると余裕ができます
  2. 各分野を終えるごとに、その分野の問題を解いて、間違えた論点を書き出します。このリストを週に一度見直します
  3. 最後の時期は、50問を2時間で解く練習を何回か行い、時間配分を決めておきます

用語集と、練習に使えるアプリ

法律用語の確認には、宅建の用語集 を使ってみてください。

梅工房の STUDY TYPE は、答えをタイピング(スマホはフリック)して思い出す練習ができる学習アプリで、宅建の問題集も入っています。

参考文献