テストの前の晩に、まとめて覚えた経験はありますか。翌日のテストにはなんとか間に合っても、1 か月後にはほとんど残っていない、ということがよくあります。記憶の研究では、同じ回数だけ復習するなら、一度にまとめるより、日をあけて分けたほうが長く覚えていられることがわかっています。これを分散学習(または間隔効果)と呼びます。

まとめて覚えるより、分けて覚える

分散学習は、記憶の研究の中でもとくに古くから調べられているテーマです。Cepeda らは 2006 年に、言葉を覚えて思い出す課題についての研究をまとめて分析し、間をあけた練習の効果を整理しました(Cepeda ほか, 2006)。

教室での勉強に近い場面を集めた新しいメタ分析でも、分散学習の効果は確かめられています。効果の大きさは統計の目安で中くらい(d = 0.54)で、覚えておく期間が長いほど、効果が大きくなる傾向がありました(Mawson & Kang, 2025)。

勉強法を幅広く比べた総合評価で「効果が高い」とされたのは、分散学習と練習テスト(思い出す練習)の 2 つだけでした(Dunlosky ほか, 2013)。

どれくらい間をあければいいのか

ここがいちばん気になるところだと思います。Cepeda らは 2008 年に、1,350 人をこえる人を対象に、最長 1 年後までテストする大きな実験をしました。

わかったのは、ちょうどいい間隔は「いつまで覚えておきたいか」によって変わる、ということです。間隔を広げると成績はまず上がり、広げすぎるとゆるやかに下がります。そして、ちょうどいい間隔を「覚えておきたい期間」に対する割合で見ると、1 週間後にテストするなら 20〜40% くらい、1 年後なら 5〜10% くらいでした(Cepeda ほか, 2008)。

この割合を、自分の予定に当てはめて計算してみると、目安がつかめます。

  • 1 週間後の小テストに向けて覚えるなら、間隔はおよそ 1〜3 日
  • 1 年後の入試や資格試験まで残したいなら、間隔はおよそ 3 週間〜1 か月あまり

割合は期間によって変わるので、決まった公式があるわけではありません。あくまで目安として使ってください。

1 日のうちで間をあけるより、日をまたぐ

もう一つ大事なのが、眠りをはさむことです。学習と学び直しの間に眠りをはさんだグループは、必要な練習の量が半分で済み、1 週間後や半年後にもよく覚えていました(Mazza ほか, 2016)。

また、間隔の効果は、あいだに何問はさんだかより、実際にあいた時間で決まるという研究があります(Karpicke & Bauernschmidt, 2011)。同じ日のうちに数問あとでもう一度やっても、続けてやるのとあまり変わらない、ということです。復習は、なるべく日を分けて行うのがおすすめです。

今日からできる復習の組み方

研究をもとにすると、次のような進め方が考えられます。

  1. 最初の日:思い出す練習で、何も見ずに答えられる状態にする。1 回できただけで終わりにせず、時間をおいて 3 回くらい正しく思い出せるまでやる
  2. 翌日:何も見ずに思い出せるか、もう一度試す
  3. 3 日後:もう一度思い出す
  4. 1 週間後:もう一度思い出す
  5. そのあとは、試験までの日数に合わせて、2 週間後、1 か月後と間隔を広げていく

「最初に 3 回正しく思い出せるまでやり、そのあと日をあけて 3 回学び直す」と、長く残り効率もよかった、という研究があります(Rawson & Dunlosky, 2011)。上の手順はこれを参考にしています。ただし「翌日・3 日後・1 週間後」という日付そのものは、研究で決まった値ではなく、始めやすい例の一つです。

復習のときに気をつけたいこと:

  • 復習は「読み直す」のではなく「思い出す」形で行う
  • 間違えた問題や思い出せなかった問題は、次の復習を早めにする
  • 一度できたからといって、自分の判断ですぐに外さない。覚えたと思って早めに外すと、あとで成績が下がりやすいことが知られています(Kornell & Bjork, 2008; Karpicke & Roediger, 2008)

カレンダーや手帳に「この単元は○日に復習」と書いておくと、忘れずに続けやすくなります。

一人ひとりに合わせた復習

覚えやすい問題と覚えにくい問題は、人によってちがいます。一人ひとりの記憶に合わせて復習の時期を決めると、全員に同じ間隔で復習させるより成績が上がった、という研究があります(Lindsey ほか, 2014; Tabibian ほか, 2019)。最近の暗記アプリの多くが、問題ごとに次の復習日を計算する「間隔反復」という仕組みを取り入れているのは、このためです。

とはいえ、研究の効果はたくさんの人の平均です。忘れる速さには個人差があり、同じ人でも教材によって変わります(Sense ほか, 2016)。上の間隔を出発点にして、自分の手ごたえに合わせて調整してみてください。

梅工房の STUDY TYPE では、ログインした人が解いた問題ごとに記憶の具合を見積もり、忘れかけたころにもう一度出す「復習」の機能を用意しています。復習の日を自分で管理するのが大変なときに、試してみてください(紹介ページ)。

参考文献

  • Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D.(2006)Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
  • Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H.(2008)Spacing Effects in Learning. Psychological Science. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
  • Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T.(2013)Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  • Karpicke, J. D., & Bauernschmidt, A.(2011)Spaced retrieval: Absolute spacing enhances learning regardless of relative spacing. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition. https://doi.org/10.1037/a0023436
  • Karpicke, J. D., & Roediger, H. L.(2008)The Critical Importance of Retrieval for Learning. Science. https://doi.org/10.1126/science.1152408
  • Kornell, N., & Bjork, R. A.(2008)Optimising self-regulated study: The benefits—and costs—of dropping flashcards. Memory. https://doi.org/10.1080/09658210701763899
  • Lindsey, R. V., Shroyer, J. D., Pashler, H., & Mozer, M. C.(2014)Improving Students' Long-Term Knowledge Retention Through Personalized Review. Psychological Science. https://doi.org/10.1177/0956797613504302
  • Mawson, R. D., & Kang, S. H. K.(2025)The Distributed Practice Effect on Classroom Learning: A Meta-Analytic Review of Applied Research. Behavioral Sciences. https://doi.org/10.3390/bs15060771
  • Mazza, S., Gerbier, E., Gustin, M.-P., Kasikci, Z., Koenig, O., Toppino, T. C., & Magnin, M.(2016)Relearn Faster and Retain Longer. Psychological Science. https://doi.org/10.1177/0956797616659930
  • Rawson, K. A., & Dunlosky, J.(2011)Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: How much is enough? Journal of Experimental Psychology: General. https://doi.org/10.1037/a0023956
  • Sense, F., Behrens, F., Meijer, R. R., & van Rijn, H.(2016)An Individual's Rate of Forgetting Is Stable Over Time but Differs Across Materials. Topics in Cognitive Science. https://doi.org/10.1111/tops.12183
  • Tabibian, B., Upadhyay, U., De, A., Zarezade, A., Schölkopf, B., & Gomez-Rodriguez, M.(2019)Enhancing human learning via spaced repetition optimization. Proceedings of the National Academy of Sciences. https://doi.org/10.1073/pnas.1815156116