問題を間違えると、少し落ちこみますよね。とくに「これは絶対に合っている」と思っていた答えが違っていたときは、なおさらです。でも記憶の研究から見ると、間違えた瞬間は、正しい答えを覚え直すよい機会でもあります。この記事では、間違えたあとの解説(フィードバック)がなぜ大切なのかを、研究をもとに説明します。

間違えたら、正しい答えを確かめる

思い出す練習は、記憶を長持ちさせる勉強法としてよく知られています。ただし、思い出した答えが間違っていたとき、そのままにしておくと、間違った答えのほうが残ってしまうおそれがあります。

間違いから学ぶことについての研究をまとめた Metcalfe(2017)の総説では、間違えたあとに正しい答えを示すフィードバックが、学習に欠かせない役割を持つことが整理されています。間違えた直後に正しい答えを見ると、記憶は直りやすくなります。

おもしろいのは、いったん間違った答えを出すこと自体が、そのあとの学習を助けることがある、という研究です(Potts & Shanks, 2014; Metcalfe & Kornell, 2007)。ただし、どちらも正しい答えがあとで示されることが前提になっています。間違えっぱなしでは意味がなく、正しい答えを確かめてはじめて、間違いが学びに変わります。

自信を持って間違えたことほど直りやすい

Butterfield と Metcalfe(2001)は、答えたときにどれくらい自信があったかと、間違いが正しい答えを見たあとでどれだけ直ったかの関係を調べました。

その結果、自信を持って間違えた問題ほど、あとのテストで正しく直っていました。「たぶん違う」と思いながら間違えた問題より、「絶対これだ」と思って間違えた問題のほうが、正しい答えに置きかわりやすかったのです。この現象はハイパーコレクション(hypercorrection)と呼ばれています。

直感とは逆に感じるかもしれません。自信のある思いこみほど、なかなか直らないような気がするからです。でも、研究の結果は、間違いに気づいて正しい答えを見る機会さえあれば、自信のある間違いはむしろ直しやすいことを示しています(Butterfield & Metcalfe, 2001; Metcalfe, 2017)。

裏を返すと、自信がないまま間違えた問題は、正しい答えを一度見ただけでは定着しにくい、と考えておくのがよさそうです。

思い出そうとしたこと自体にも意味がある

間違えると「時間を無駄にした」と感じるかもしれません。でも、思い出そうとする試みそのものが学習を助け、その場で正解できたかどうかはそれほど関係しなかった、という研究があります(Kornell, Klein & Rawson, 2015)。答えを出そうと頭を使った時間は、間違えたとしても無駄にはなっていません。

間違いを生かす復習のしかた

研究をもとに、日々の勉強で使える方法をまとめます。

  1. 答える前に、自信の度合いを決めておく。「自信あり」「たぶん」「あてずっぽう」の 3 段階でかまいません。問題集なら、余白に印をつけておきます
  2. 答えたら、すぐに答え合わせをする。まとめてあとで確認するより、1 問ごとに確かめるほうが、間違いをそのままにしにくくなります
  3. 間違えたら、解説を読んだあと、正しい答えを自分で書く(打つ)。解説を見ながら写すのではなく、一度閉じてから書きます
  4. 自信がなくて間違えた問題には、印をつけて多めに復習する。一度正しい答えを見ただけでは足りないことがあります
  5. 間違えた問題は、その日のうちに少し時間をおいてもう一度解き、翌日にも解き直す。一度正解できても、すぐにリストから外さないようにします

5 について補足すると、一度正しく思い出せた問題をテストから外すと、1 週間後の成績が大きく下がったという研究があります(Karpicke & Roediger, 2008)。最初は 3 回くらい正しく思い出せるまでやり、そのあと日をあけて学び直すと、長く残り効率もよかったという報告もあります(Rawson & Dunlosky, 2011)。

間違えた問題を集めたノートを作る人も多いと思います。そのときは、正しい答えを書き写して終わりにするのではなく、答えを隠して自分で思い出せるかを何度か試してみてください。

気をつけたいこと

ハイパーコレクションは、研究でくり返し確かめられている現象ですが、すべての間違いが一度で直るわけではありません。効果の出方は、問題の内容や人によって変わります。間違えることを怖がりすぎず、「正しい答えを確かめる」「あとでもう一度試す」の 2 つをセットにすることが大切です。

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参考文献