基本情報技術者試験は、ITエンジニアの入り口となる国家試験です。知識を問う科目Aと、プログラムを読んで考える科目Bの2つがあり、それぞれで基準点を超える必要があります。どちらか一方だけ得意でも合格できないので、両方を並行して育てていく計画が大切になります。

試験の形

試験は IPA(情報処理推進機構)が実施していて、会場のパソコンで解く CBT 方式で、通年で随時受けられます。科目Aと科目Bは同じ日に続けて受けます。

  • 科目A:90分で60問。四肢択一で、知識を問います
  • 科目B:100分で20問。多肢選択式で、技能を問います。内訳はアルゴリズムとプログラミングの分野が16問、情報セキュリティの分野が4問です
  • 合格の基準:科目A・科目Bともに1,000点満点で、それぞれ600点以上

科目Aが終わってから科目Bが始まるまでに、最長10分の休憩を取れます。採点は IRT(項目応答理論)という方式で、出題数のうち一部(科目Aは60問中4問、科目Bは20問中1問)は今後の問題を評価するためのもので、評価には使われません。また、科目Aには一部免除の制度があります。

制度は変わることがあるので、受ける前に IPA の基本情報技術者試験のページ と 試験要綱・シラバス で最新の情報を確かめてください。

科目Aの進め方

科目Aは範囲が広く、ハードウェア、ネットワーク、データベース、セキュリティ、開発の手法、経営や法律まで出ます。ITパスポートより一段深いところまで問われるので、用語の名前だけでなく「なぜそうなるか」まで言えるようにしておくと、少しひねった問題にも対応できます。

似た用語は、対にして覚える

科目Aでつまずきやすいのは、似た言葉の取り違えです。セットで覚えると混ざりにくくなります。

  • スタックとキュー:スタックは最後に入れたものを最初に取り出す(LIFO)。キューは最初に入れたものを最初に取り出す(FIFO)。お皿を積み重ねるのがスタック、レジの行列がキューです
  • 直列と並列の稼働率:2台を直列につなぐと、両方動いていないと全体が止まるので、稼働率は掛け算(R1×R2)です。並列なら、両方とも止まったときだけ全体が止まるので、1−(1−R1)(1−R2) になります
  • 共通鍵暗号と公開鍵暗号:共通鍵は暗号化と復号に同じ鍵を使い、処理が速い代わりに鍵の受け渡しが課題です。公開鍵は鍵が2つあり、相手の公開鍵で暗号化したものは、相手の秘密鍵でしか復号できません
  • 第1正規形・第2正規形・第3正規形:それぞれ「何を取り除いたか」で覚えます。繰り返しの項目をなくすのが第1、主キーの一部だけで決まる項目を分けるのが第2、主キー以外の項目に従属する項目を分けるのが第3です

用語をまとめて見直したいときは、基本情報技術者試験の用語集 が役に立ちます。

科目Bの進め方

科目Bのプログラムは、擬似言語という試験用の書き方で出題されます。特定のプログラミング言語を知らなくても解けるように作られていますが、慣れていないと1問に時間がかかります。

いちばん効く練習は、トレースです。変数の値が1行ごとにどう変わるかを、紙に表を作って書き込みながら追います。最初は時間がかかって当然です。配列の添字が0から始まるのか1から始まるのか、ループが何回まわるのか、終わりの条件で「以下」か「未満」かといった細かい点で間違えやすいので、問題文をていねいに読むくせをつけてください。

セキュリティの4問は、科目Aで覚えた知識を、具体的な場面に当てはめて判断する問題です。科目Aの勉強がそのまま土台になります。

記憶の研究から分かっているコツ

自分で答えを作って思い出す練習は、読み直しよりも長く記憶に残ります。選択肢から選ぶより、自分で答えを作る方が効果が大きいことも、多くの研究をまとめた分析で示されています(Rowland, 2014)。科目Aの用語なら、選択肢を見る前に、まず自分で答えを言ってみてください。

もう一つは、間をあけて復習することです。同じ量を勉強するなら、一度にまとめるより、間をあけて何回かに分けた方が長く覚えていられます(Cepeda ほか, 2006)。科目Bのトレースも同じで、一度解いた問題を数日後に何も見ずに解き直すと、解き方が身についているかどうかが分かります。

間違えたときは、すぐに解説を読んで、なぜ間違えたかを確かめましょう。間違えた直後に正しい答えを見ると、誤りは直りやすくなります(Metcalfe, 2017)。

試験日までの計画の立て方

随時受けられる試験なので、先に受験日を決めて、そこから逆算します。

  1. 前半:科目Aの範囲をひととおり学びながら、科目Bは毎日1問だけトレースします。科目Bを後回しにすると、直前に時間が足りなくなりがちです
  2. 中盤:科目Aは問題演習に切り替え、間違えた用語を書き出して、翌日と数日後に解き直します。科目Bは1日に解く問題を増やし、時間を計り始めます
  3. 後半:科目A 90分、科目B 100分を通しで解く練習をします。長丁場なので、集中力の配分も本番前に体験しておくと安心です

用語集と、練習に使えるアプリ

科目Aの用語の確認には、基本情報技術者試験の用語集 を使ってみてください。

梅工房の STUDY TYPE は、答えをタイピング(スマホはフリック)して思い出す練習ができる学習アプリで、基本情報技術者試験の問題集もあります。

参考文献