FP(ファイナンシャル・プランニング)技能検定は、お金に関する幅広い知識を問う国家検定です。年金、保険、税金、相続など、自分や家族の暮らしにそのまま役立つ内容が多いのが特徴です。ここでは、多くの人が最初に受ける3級と、その次の2級を中心に、勉強の進め方を紹介します。
試験の形
FP技能検定は、日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)の2つの団体が実施しています。2級と3級は、どちらの団体でも原則として会場のパソコンで解く CBT 方式で行われ、休止期間を除いて通年で受けられます。試験は学科と実技に分かれていて、合格の基準もそれぞれに決まっています。
日本FP協会の試験要綱では、次のようになっています。
- 3級の学科:90分で60問、多肢選択式。60点満点で36点以上が合格
- 3級の実技:60分で20問、多肢選択式。100点満点で60点以上が合格
- 2級の学科:120分で60問、多肢選択式。60点満点で36点以上が合格
- 2級の実技:90分で40問、多肢選択式と記述式。100点満点で60点以上が合格
実技の科目は団体によって違います。日本FP協会は「資産設計提案業務」です。きんざいの3級は「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」から選びます。どちらで受けるかによって実技の問題の雰囲気が変わるので、申し込む前に確かめておきましょう。
制度や実施の日程は変わることがあるので、受ける前に 日本FP協会の試験要綱 や きんざいのFP技能検定のページ で最新の情報を確かめてください。
6つの分野と、それぞれの進め方
学科は次の6つの分野から出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
身近な分野から始める
年金や社会保険を扱う「ライフプランニングと資金計画」や、生命保険を扱う「リスク管理」は、自分の給与明細や保険証券と結びつけると理解が早まります。手元の書類を見ながら「この控除は何だろう」と調べるのも、立派な勉強です。
税金と相続は、計算の流れを先につかむ
「タックスプランニング」と「相続・事業承継」は、計算問題が出るので苦手にする人が多い分野です。細かい数字を覚える前に、「収入から何を引いて、何を掛けて、税額が決まるのか」という流れを先に頭に入れてください。流れが分かると、数字がどこで使われるのかが見えて、覚えやすくなります。
数字は、最新の版で覚える
FPの試験は、税金や年金の制度が変わると内容も変わります。古いテキストの数字で覚えてしまうと、本番で混乱します。受ける時期に合った版の教材を使いましょう。
似た用語の覚え分け
FPでは、名前が似ていて働きが違う用語が多く出ます。
- 所得控除と税額控除:所得控除は、税金を計算する前の「所得」から差し引くものです。税額控除は、計算した「税額」から直接差し引くものです。同じ金額なら、税額から直接引ける税額控除の方が、税金を減らす効果が大きくなります
- 定期保険・終身保険・養老保険:定期保険は決められた期間だけ保障があり、満期保険金はありません。終身保険は一生涯の保障が続きます。養老保険は、期間中に亡くなると死亡保険金、満期まで生きると同じ額の満期保険金が受け取れます
- 単利と複利:単利は元本にだけ利息がつきます。複利は、ついた利息も元本に加えて、次の利息を計算します
- 法定相続分と遺留分:法定相続分は、民法が目安として決めている相続の割合です。遺留分は、一定の相続人に保障された最低限の取り分で、兄弟姉妹には遺留分がありません
用語をまとめて確認したいときは、FPの用語集 が使えます。
記憶の研究から分かっているコツ
数多くの勉強法を比べた総合的な評価では、効果が特に高いとされたのは「練習テスト」と「間をあけた学習」の2つでした(Dunlosky ほか, 2013)。FPの勉強に当てはめると、テキストを読んだらすぐに問題を解き、数日後にもう一度解く、という形になります。
思い出す練習は、テストのように答えを書き出す形でも、キーボードで打って答える形でも効果があります。頭の中で思い出すだけより、実際に答えを打った方が残りやすかったという研究もあります(Rivers ほか, 2025)。用語の説明を見て、その用語名を打ってみるだけでも練習になります。
一夜漬けより、毎日少しずつ進めて翌日に復習する方が向いています。眠りをはさんで学び直すと、少ない練習で長く覚えていられたという研究があります(Mazza ほか, 2016)。
試験日までの計画の立て方
CBT 方式なので、日時を選んで申し込みます。休止期間があるので、受けたい時期が休止期間に当たっていないか公式サイトで確かめてから日を決めましょう。
- 前半:6つの分野をひととおり学びます。身近な分野から始めて、税金と相続は時間を多めに取ります
- 中盤:分野ごとに問題を解き、間違えた用語や計算を書き出します。次の日と数日後にそのリストだけ解き直します
- 後半:学科と実技を本番の時間どおりに通して解き、時間配分を確かめます
用語集と、練習に使えるアプリ
FPの用語の確認には、FPの用語集 を使ってみてください。
梅工房の STUDY TYPE は、答えをタイピング(スマホはフリック)して思い出す練習ができる学習アプリで、FPの問題集も入っています。
参考文献
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Rivers, M. L., Northern, P. E., & Tauber, S. K. (2025). Does Retrieval Demand Moderate the Effectiveness of Covert Retrieval Practice? Comparing Covert and Overt Retrieval Practice for Learning Key Terms and Definitions. Educational Psychology Review, 37. https://doi.org/10.1007/s10648-025-10040-4
- Mazza, S., Gerbier, E., Gustin, M.-P., Kasikci, Z., Koenig, O., Toppino, T. C., & Magnin, M. (2016). Relearn Faster and Retain Longer. Psychological Science, 27, 1321-1330. https://doi.org/10.1177/0956797616659930