ランニングを続けていると、いつものコースに飽きてくる時期があります。そんなときに「走る理由」をもうひとつ足してくれるのが、走った道すじをゲームにする位置情報ゲームです。この記事では、その中でも「陣取り」型のしくみと、遊ぶときに気をつけたい安全の話を書きます。
走った線が陣地になる、という考え方
陣取りのランニングゲームの基本はとても単純です。GPS で記録した走った道すじを、地図の上に線として描きます。その線でぐるっと囲んだ内側が、自分の陣地になります。
この遊び方がおもしろいのは、走り方そのものが作戦になるところです。同じ 5 キロでも、まっすぐ行って戻ってくると、線は細長いだけで、囲める面積はほとんどありません。大きな輪を描くように走れば、広い陣地が取れます。いつもの往復コースを、ちょっと回り道して一周にしてみよう、という気持ちが自然にわいてきます。
仲間やほかのプレイヤーがいると、さらにおもしろくなります。人の陣地を自分の線で囲み直して奪ったり、チームで手分けして広い範囲を押さえたりできるからです。数字を競うだけのランニング記録より、「どこを走るか」に意味が生まれるのが、陣取り型のよいところだと思います。
位置ゲームがかかえる弱点
一方で、このしくみには大きな弱点があります。走った線をほかの人に見せるということは、自分がどこを走っているかを見せることでもあるからです。
ランニングの記録は、たいてい自宅の前から始まって自宅の前で終わります。毎朝同じ時間に同じ道を走っていれば、生活のリズムまで読み取れてしまいます。陣地がよく見える地図ほど、「この人はこのあたりに住んでいる」という手がかりにもなりかねません。
ランニング記録を共有するアプリの多くは、自宅のまわりを隠す設定などで対策をしています。それでも、設定を忘れたり、隠す範囲が狭かったりすると、地図から場所が推測できることがあります。
なぜ火星に置くのか
そこで考えたのが、「走るのは地球、陣地は火星」というやり方です。
地球で走った軌跡を、その形のまま火星の地図の上に持っていって、好きな場所に置きます。ほかの人に見えるのは、火星に置かれた線の形と陣地だけです。火星の地図を見ても、その線が地球のどこで走られたものなのかはわかりません。地球の地図は自分だけが見るものにしておけば、自宅の位置を知られる心配がずっと小さくなります。
もうひとつよいことがあります。地球の陣取りだと、住んでいる場所によって有利不利が出ます。人の多い街なら取り合いが激しく、走れる道が少ない地域では囲める範囲も限られます。火星に置くなら、同じコースを走っても、置く場所を変えるだけで陣地を広げていけます。いつものコースが、毎回ちがう意味を持つようになるわけです。
位置情報アプリを使うときの安全の注意
陣取りに限らず、位置情報を使うランニングアプリを使うときに気をつけたいことをまとめておきます。
記録の始まりと終わりを家から離す
記録を始めるのは家を出て少し走ってから、止めるのは家に着く少し手前にする、という習慣をつけておくと、記録から自宅がわかりにくくなります。SNS に軌跡の画像を投稿するときも、出発点と終点がどこに写っているかを確かめてから出しましょう。
公開の範囲を確かめる
アプリを入れたら、記録が誰に見えるのか、地図が公開されるのかを、最初に設定画面で確かめておきます。位置情報の許可も、必要なときだけ使えるようにしておくと安心です。バックグラウンドでの記録に「常に」の許可が必要なアプリもあるので、その場合は何のために使うのかを説明で確かめてください。
画面を見ながら走らない
陣地の形が気になると、つい地図を見ながら走りたくなります。けれど、走りながら画面を見るのは、車や自転車、段差に気づくのが遅れて危険です。確認は立ち止まってからにしましょう。
囲むために危ない道に入らない
大きく囲みたくて、知らない道や暗い道、車通りの多い道に入るのはやめましょう。立ち入り禁止の場所や私有地に入るのも当然だめです。夜や早朝に走るなら、明るい色の服や反射材を身につけ、行き先を家族に伝えておくと安心です。
体の声を優先する
陣地を広げたくて、いつもより長く速く走ってしまうこともあると思います。ゲームの目標より体調を優先してください。痛みが続くときは走るのを休み、医療の専門家に相談しましょう。
MarsRun で火星を走る
梅工房の MarsRun は、地球で走った軌跡を、角度も調整して火星に置いて陣地にするランニングアプリです。地球の地図は自分だけのもので、ほかの人に見えるのは火星の陣地だけなので、仲間とギルドを組んで陣取りを楽しめます。